息子のまなざし

・息子のまなざし / ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督 (2002) / 103min.

原題 "Le Fils" 仏・ベルギー合作
”果たして人間はもっとも憎い人間を受け容れることができるのか”

撮影が終わる夕方ごろになると俳優も疲れてきて、計算した演技ができなくなる。ダルデンヌ兄弟によるとその時のテイクが一番いいんだそうだ。「オリヴィエに自分のしていることがわからなくても、観客がわかっているのだからわざとらしい演技は必要ない」と同名の主人公オリヴィエを演じたオリヴィエ・グルメが説明する。

彼は息子を殺した少年に復讐する機会を狙っているようにも、また赦そうと精一杯努力しているようにも見えるが、常に腰を締めつけている幅広の革ベルトで感情まで抑えこんでいるかのように殆ど表情には出さない。自分が殺してしまった子どもの父親がオリヴィエとは知らない少年に「後見人になってほしい」と頼まれた時、彼は少年のコップと並んだコーヒーカップをすっと自分の方に引き寄せる。ありふれた動作で生じる距離感が見た目よりはるかに大きい。

製材所。積み重ねた材木と材木の間に挟まれた木片を「木を乾燥させるためだ。生乾きのままでは」とオリヴィエが説明しかけ「木がそってしまう」と自分の罪を恥じ不眠症に苦しんでいる少年が受ける。 2枚の板は癒えない傷口を抱えたこのふたりの関係に似ている。
「音による効果を与えたくなかった」という監督の意向で音楽も一切ないが、撮影に13週間もかけ、少年役が演技経験ゼロ、と知って驚いた。
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by drift_glass | 2004-09-03 21:55 | 観る  

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