King Rat

・Bryan Forbes監督『キング・ラット』(1965年米) DVD (TSDD-17892)

モノクロ映像にジョン・バリーのやるせない、チリチリしたテーマ。第二次世界大戦中の日本軍によるシンガポールのチャンギー捕虜収容所が舞台で、飢餓と病気、絶望から精神的・肉体的に脱落していく(「チャンギー・ブルー」……死にたくない理由がなくなる)捕虜も多い中、たくましく生き抜く者もいる。不正をはたらく者、要領よくたちまわる者への憎悪を支えにしてなんとか精神的に持ちこたえている憲兵隊長がトム・コートネイ、一人になると「神様、妻に自分が無事生きていることをお伝え下さい」とぎりぎりのところまで追いつめられている。

f0134076_11361687.jpg収容所の影の帝王「キング」伍長役にはスティーヴ・マックイーンやポール・ニューマンへもオファーがあったが断られ、このジョージ・シーガルに決まったそうだ。貸切にした独房で仲間たちと一緒に肉を食べる場面でのふてぶてしい表情がナイス。シーガル以外はアドリヴだったそうだが、デンホルム・エリオット以下のリアクションはさすがイギリス人。

戦争終結がもたらした平和と食糧、しかし同時に戻ってきた容赦のない現実。伍長の階級相当にトラックの荷台に乗せられて収容所を後にするキングの姿は「王の帰還」に程遠いが、それでもその極限状態でネズミのように、たとえ憎悪にせよ彼が与えたものにすがって生き延びた者たちの王には違いなかったと思う。

キング同様現実的なイギリス人捕虜マーロウ役のジェームズ・フォックスが、角度により『船上のメリークリスマス』のデヴィッド・ボウイによく似ていた。
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by drift_glass | 2006-02-11 10:58 | 観る  

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