パフューム ― ある人殺しの物語

f0134076_23291389.jpg・「パフューム ― ある人殺しの物語」(独・仏・スペイン 2006)
Perfume: The Story of a Murderer
トム・ティクヴァ監督
原作:香水 ある人殺しの物語パトリック・ジュースキント
18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに……欲望のほむらが燃えあがる。稀代の“匂いの魔術師”をめぐる大奇譚。
文藝春秋社 内容紹介より
私が映画の原作を先に読んでいることは珍しいのだが、この作品のおかしさと奇妙な味わいを生かした池内紀氏の訳がとてもよく、しかも原作ではもちろん映画より丁寧に「鼻男」の生涯をたどることができるため、今回は運がよかった。
「Winterschläfer(Winter Sleepers)」「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督作品。グルヌィユがその驚異的な鼻でローラの行方をたどるカメラの飛行感覚、見覚えのある特徴的なカメラワークが気になり調べてみると、撮影監督はやっぱり前述の作品でもティクヴァ監督と組んでいるFrank Griebeだった。

グルヌィユと関わる(利用する、または覚えている)人間はみな役目を終えるとあっさり死んでいく。驚異的な嗅覚の持ち主でありながら皮肉にも自らの体臭がなく、気配すら知られず、したがって人の記憶にも残らないグルヌィユ。彼自身が求める匂いは生きた処女からしか得られず、グラースで匂いの保存方法を習得した彼は花を摘むように娘たちから匂いを「摘み取り」または「刈り取り」、ひたすら匂いの蒐集にいそしむ。もっとも執着していた最高の材料を得た彼は究極の匂い、人々が自分の体臭から逃れるため香水を使うのとは逆に、それをまとえば人々を思いのままに操れる「彼自身の体臭」を作り出した。

RADA出身ベン・ウィショーの獣性をおびた面構えは主人公ジャン=バチスト・グルヌィユにぴったりだ。(グルヌィユとその「究極の香り」に魅了された人々の様子にはサラリーマンNEO「セクスィー部長」をちょっと連想してしまったよ)
原作のグルヌイユは醜く、徹頭徹尾人でなしで、最初に手をかけた娘との美しい幻想シーンやセンチメンタリズムとは無縁な男なんだけどな。
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by drift_glass | 2007-09-17 23:44 | 観る  

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