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ロザリンド・アッシュ「蛾」

大学で教えているという語り手の所有するレコードに、コール・ポーターとともにテンペランス・セヴンの名が。The Temperance Seven の演奏する姿はスティーヴンソン「箱ちがい」を映画化した作品"The Wrong Box"で観られ、これがまたThe Bonzo Dog Bandの先輩みたいな楽しいものなのだ。

幽霊譚というより運命の女の話か。それにひきよせられる男たちも蛾、うすぎぬをまとった女も蛾、文中にも「繭」とか「虫」とか……
おもしろかったが「家」そのものにもっと魔性を感じられたらよかったのに。
まるい円を描きながら、恐らく私は一年の出来事を魔法の輪で囲み、絶縁して無害なものにしたかったのである。それから私はそうした出来事を一つ一つ、異国の蛾かなんぞのようにページにピンでとめるつもりだった。しかし出発点にはもちろん戻れない。中心が変って、くるりとまわしてもってきた線がすれ違いになる。(p8)

by drift_glass | 2008-03-03 23:46 | 読む  

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