たま「東京フルーツ」「室温~夜の音楽~」「いなくていい人」

より自由な活動を求めて、自主レーベル地球レコードを設立しメジャーからあえてインディーズに戻った、たま。1995年に柳原幼一郎(陽一郎)が脱退し、知久寿焼、石川浩司、滝本晃司(地球レコードの社長でもある)の3人で活動を続け2003年10月をもち解散。解散後も、元メンバー同士の相互乗り入れでの複数ユニットでレコーディングやライヴ活動中。

なーんて能書きはともかく、たまの音楽はいい。『ろけっと』までは追っていたのだが、地球レコードのCDは当初郵便振込の通販かライヴ会場くらいでしか買えなくて、インターネットを始めてからもそのままバンドの活動からずっと遠ざかっていたのが本当にくやしい。一度もライヴを観ることのないまま解散してしまった。今は地方にいてもamazonやHMVオンラインショップで手軽に注文できるようになった。いい時代である。

f0134076_120052.jpg・たま『東京フルーツ』CD(CHIKYU-008)
1. 安心
2. とかげ
3. カボチャ
4. 夢の中の君
5. 学習
6. ハダシの足音
7. 小象の…
8. いわしのこもりうた(Oil Sardin Lullaby)
9. さよならおひさま
10. ラッタッタ
11. 「夏です」と1回言った
12. ゆめみているよ

石川さんのシュールな世界をたっぷり味わえる「小象の…」も、♪ぼくの未来は火葬場の灰……と歌うみもふたもない名曲「安心」(知久)、いい声をしてるなと聴きほれる「いわしのこもりうた」(知久)、日本語としてどうなのよと思いながら水まきのシャワーにかかった虹のような美しさがやっぱり好きな「夏ですと1回言った」(滝本)も他のバンドでは再現できない音楽だ。

・たま『室温~夜の音楽』CD(CHIKTYU-0015)
f0134076_1159414.jpg1. 安心(『東京フルーツ』より)
2. いわしのこもりうた
3. 間宮くん
4. ガウディさん(『しょぼたま』より)
5. さよならおひさま(『東京フルーツ』より)
6. 夜のおんがく(traditional)
7. おるがん
8. ハダシの足音(『東京フルーツ』より)
(2.3.6.7 - 2001年7月18日青山円形劇場にて録音)
第5回鶴屋南北戯曲賞、第9回読売演劇大賞優秀賞をW受賞したケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)の戯曲でたまが音楽を担当、役者としても出演しステージで演奏した同タイトルの劇中曲を編集。

f0134076_13244774.jpg・たま『いなくていい人』(CHIKYU-004)
1. いなくていいひと
2. へっぽこぴー
3. ぎが
4. 青空
5. 箱の中の人
6. 326
7. 健さん
8. ハッピーマン
9. 南風
10. サーカスの日

解散ライヴDVD『たまの最期!!』で凝ったライティングと弾けた演奏を楽しめた「へっぽこぴー」も「ハッピーマン」も大好きだが、石川曲でひときわぶっ飛んでいるのは、『いなくていい人』の「健さん」。
鳶職の健さんが妊娠した!できちまった!おなかの子のため禁酒禁煙、足場の上でつわりにクラッとする健さんはでも少し幸せそう……という内容である。とんでもないシチュエーションながら明確な映像が(カフカの、目覚めたら毒虫になっていた)ザムザ並みに不思議な説得力をもつ。

人の目にはただのいぬ、ぼくにはかけがえのない「ぎが」。「いつかきっとかならずや」ぼくでもぎがでもなくなる時は来る、だから遠い将来でなくとりあえず明日なにしようか?と子犬の寝顔に語りかける「ぎが」(知久)もシンプルであるがゆえに、聴くごとに深い。「生命」「死」「かわいい」「好き」という言葉を使うまでもない、あふれんばかりの思い。

たまをコミックバンドの一発屋と思っている人は多いかもしれないけれど、彼らの音楽はもともと言葉どおりの意味で「プロブレッシヴ」だった。歯切れがよく、無駄な音はひとつもない。イメージは鮮烈だ。
YouTube
かにばる」(4:50くらいより)

自分の音楽を誰に妥協することなく演奏して、なおかつ商業ベースに乗せられる人たちを私は単純に尊敬し、応援している。けちって中古盤でなく、新譜で買う程度の、ほ、ほ、ほんとにビリョクながら。
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by drift_glass | 2008-09-30 13:19 | 聴く  

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