カテゴリ:観る( 55 )

 

japan蒔絵~宮殿を飾る東洋の煌めき~

10/18~12/7までの特別展覧会「japan蒔絵~宮殿を飾る東洋の煌めき~」開催中の京都国立博物館へ。

さすが平日昼間、人も少なく、じっくり読めたし気に入った展示に引き返しては何度も見返すことができたし、内容にも満足した。マリー・アントワネットをはじめ海外にこれほど日本の工芸品のファンがいたとはね。そういう所蔵品にお目にかかるチャンスも滅多にないしね……

西洋で唐子の絵を模して描かせたものが、連れている犬だけ洋犬の姿になっているのもたいそうおもしろい。この展示に関しては、Uさんにその場でいろいろ教えてもらいたかったなぁ。

常設展示の「阿弥陀二十五菩薩来迎図」、スピード感といい構図といい大好きな作品だったのでやっと見られた~。
[PR]

by drift_glass | 2008-10-30 23:30 | 観る  

追悼 緒形拳さん

f0134076_11591292.jpg・ポール・シュレイダー監督
『mishima:a life in four chapters』(1985)

緒形拳さんの訃報を知り、出演作で唯一持っているDVDで再見。
“Art into action”

昭和43年2月26日三島由紀夫はじめ後日楯の会一期生となる11名で「我々ハ皇国ノ礎ニナランコトヲココニ誓ウ」と書いた紙に自分の指を切りその血で署名する。三島(緒形拳)は著書やブログ題字でなじみの深い味のある四角い字で「平岡公威」と書いた。

『楢山節考』『砂の器』『火宅の人』『八甲田山』
出演作にずらりと傑作の並ぶ中、一番強烈に焼きついているのは、『鬼畜』の小心な印刷屋の親父。

ご冥福を心よりお祈りいたします。
緒形さんも愛猫家だったんだ……
[PR]

by drift_glass | 2008-10-07 12:01 | 観る  

「大侵略」(1968)

f0134076_836196.jpg・アンドレ・ド・トス監督『大侵略 (Play Dirty)』(1968) 

『大侵略』はハリー・サルツマン製作、北アフリカ戦線のオフビートな戦争アクション映画で、ドイツ軍補給基地を叩くための囮として集められたはぐれ者傭兵部隊が、砂塵や地雷に悩まされながら男と見れば襲って物資を奪う、女と見れば襲って(以下自粛)

傭兵の指揮を命じられたのが実戦経験なしの石油技師ダグラス大尉(マイケル・ケイン)。捨て駒の彼らを敵の前に差し出し、その隙に大隊が目的地を爆破するという戦略(ひどいよねぇ)。本人たちは上層部のそんな思惑もつゆ知らず、ズタボロになりつつようやく敵の補給基地へ到着した。そこで彼らが見たものは……

原題Play Dirtyとは「卑劣なことをする」「ずるい手を使う」「えげつないことをする」
傭兵部隊も上層部も敵も味方もみんなひどいもんでした。 そしてあの結末! そのひとことで片付けちゃうの?

ケインの声を故・広川太一郎が、前科者の部下(ナイジェル・ダヴェンポート)を納谷悟朗が吹替え。豪華なのだ。 ド・トス監督はノンクレジットだがあの『アラビアのロレンス』第二班(セカンド・ユニット)監督なんですと。砂漠はお手のものですね。サルツマン製作ならほぼ同時期の『空軍大戦略』のほうがよかったなぁ。
いや、ハリー・パーマーシリーズのほうがもっと(へっへっへ)。
[PR]

by drift_glass | 2008-09-29 08:32 | 観る  

20世紀少年

・堤幸彦監督『20世紀少年』(2008)

一家4人合計140歳で観に行く。
全員原作を読んでいるので余裕で見られたが、知らないと時間軸を把握するだけでいっぱいいっぱいかもしれない。回想シーンの少年ドンキーが一番よかったな~。あと「恋の季節」を歌いながら草をなぎ払っていくヤン坊マー坊も原作どおりのルックスが秀逸。うなじが汗で濡れたシャツなど芸が細かいのだ。

とても興味のあるキャラクターを目当てに(高須/小池栄子とか、万丈目/石橋蓮司、ヨシツネ/香川照之、神様/中村嘉葎雄)第二部、第三部も観てしまうんだろうなぁ。ただ海ほたる刑務所での長いエピソードはだいぶ削られてしまうのかな。

「ともだちTシャツ」¥3,000、「ともだち手ぬぐい」¥600とお高く、もちろん買わなかった。
[PR]

by drift_glass | 2008-08-30 23:06 | 観る  

「フォロー・ミー」(1972)

f0134076_8234817.jpg・キャロル・リード監督『フォロー・ミー(Follow Me)』(1972)

未ヴィデオ・DVD化なのでひたすら放送を待ちようやく観ることがかなった作品。一度聴いたら忘れられない主題歌「Follow, Follow」はジョン・バリーによるもの。

孤独を抱えたベリンダと探偵クリフトフォルーが無言で心を通わせていく過程がとても丁寧で温かかったので、このままふたりが幸せになってくれるのかと思っていたが、さらにひとひねり。クリストフォルーがしょっちゅうつまんでいたマカロンと、ベリンダの夫の机にあったグレープフルーツ。でもクリストフォルーは、ほろ苦い人生を自分の努力で実りあるものに変えようとする力を得たようだ。夫のもとへ帰りたいかと訊かれたベリンダが、戻るのではなく前進、二人で成長することが大切だと言い切るのが、この作品の中でもっとも力強いセリフだった。さすがピーター・シェーファーだ。

ふたりの散歩道をたどってテムズ川の遊覧船、大英博物館、ピーター・パンの銅像に迷路庭園、食べ物や動物の名がついたユーモアたっぷりの通りまでなぞってみたいものだ。もちろん外で食べるお弁当にはゆで卵を用意して、頭でコツンと割るのだ。

探偵トポルが白いレインコートから取り出しては食べていたお菓子「マカロン」、私が30年来食べてきたもの(となんだか違うなと思っていたのだが、それ)は「まころん」と呼ばれる、マカロンから派生した日本独自の別モノらしいと判明。 まころんは卵白・ナッツ主体の半球型の安い焼き菓子で、マカロンほど大きくはないし、二枚重ねにもなっていない。たかがマカロン、されどマカロン。おフランス発祥のたいへん歴史の古いお菓子なんだね。
[PR]

by drift_glass | 2008-08-19 22:14 | 観る  

愛知県陶磁資料館「中国古代の建築とくらし」

f0134076_1543556.jpg知人が愛知県陶磁資料館に行かれるというので便乗して現地で待ち合わせ。
リニアモーターカー「リニモ」陶磁資料館南で下車。ホームは無人、降りたのは私一人。改札口も無人(用があれば駅員をインターホンで呼び出すようになっているらしいが、どこに潜んでいるのか)。高架駅だがエスカレーターは作りかけのまま「や~めた」と放置状態でコンクリの土台のまま、乗り口の前には工事用のコーンがふたつ置かれ進入禁止になっている。駅の利用客は階段か脇のエレベーターを使うしかない。

陶磁資料館までの大きく弧を描いた長い道のりを徒歩5分なんて誰が計ったのか、誰にも会わず、半分だけ開いている鉄の門扉に架かった「WELCOME」の看板だけがお出迎え。怖いよ~。昼下がりの洋画劇場によくありますな、何も知らない主人公がたまたま迷い込んだお屋敷で歓待してくれた主が実は……な展開、一抹の不安を覚えるのであった。

ゲートから本館へ続くアプローチがまた長い。森の匂いがする。ゴルフ場のような広大な敷地に点在する建物が本館・西館・南館・陶芸館・古窯館・茶室に復元された古窯。 たかが資料館とあなどっていた。
知人は調査目的だが私のお目当てはこれ:
開館30周年記念企画展「中国古代の建築とくらし」-茂木計一郎コレクション-
平成19年度に愛知県陶磁資料館へ寄贈された、東京藝術大学名誉教授・茂木計一郎氏が収集した建築明器を中心に厨房器具や農機具、家具、食器などのミニチュアを紹介します。
(企画展紹介より)

明器(めいき)とは山口県立萩美術館の平成18年の同様の企画展より引用すると、「死者が生前の生活で必要としたものを死後の世界でも使えるように模造したもので、建物や儀式に使う器、飲食器、人間、動物など、実に多様な器物や生き物が陶製や木製、青銅製などで造られます。」
つまり死者が向こう(地下)でも満ち足りた生活を送れるようにとの目的で作られた副葬品なのだが、そういうくくりはあるとしても作り手の創造の楽しみが伝わるようなものが多かった。これがめちゃめちゃ楽しくて、 池の中に建てられた見張り塔の手すりに猿が腰掛けていたり 池には人よりでかいアヒルやおんぶ蛙、スッポン、魚が泳いでいたり 縮尺も無視されているんだけどとにかくかわいい!
家の中にはちゃんと人がいて、窓辺には子供がいて、 厠には豚(排泄物を飼料として育つ)がいて、 前から横から裏から当時の人々の理想の暮らしがにじみでている。

展示が多すぎて(資料館もあまりに広すぎた)3時間では全然足りなかったのでした。
こりゃもう一度行く必要があるかも。
[PR]

by drift_glass | 2008-07-17 23:30 | 観る  

コロー 光と追憶の変奏曲

コロー 光と追憶の変奏曲

ル・コルビュジェ設計による国立西洋美術館で開催中のところ、上京の幸運を得て鑑賞。

家業を継ぐよう強要された跡取り息子で、妹の死を機に親の許しを得て本格的に絵の勉強を始めた時すでに30歳近かったというジャン=バティスト・カミーユ・コロー、彼の好んで描いたヴィル・ダヴレーの森こそ、『シベールの日曜日(Les Dimanches de Ville d'Avray) 』(1962)でピエールとシベールが幸せな時間を紡いでいた、あのしんとした美しい森だ。見飽きない。
リューマチを患い外で描けなくなった晩年の人物画、コローのモナリザとも呼ばれる『真珠の女』、また最晩年の作品『青い服の婦人』もすばらしい。
こんなにすばらしい絵を描けるのに、ライフワークとしたものはあくまで風景画なのだ。

彼が亡くなる前に残した言葉。
私には、これまで見たことのなかったものが見えるのです。
どうやら私は空を描くすべを知らなかったようだ。
私の目の前にある空は、はるかにバラ色で、深く、澄みわたっている。
f0134076_1052478.jpg
東京でコロー展を見たことをご存じの友人より放送のお知らせ。
 『KIRIN ART GALLARY 美の巨人たち』
テレビ愛知
今日の一枚、カミーユ・コロー作
「モルトフォンテーヌの想い出」

前半でコローの経歴と代表作を簡単に紹介し、後半はこの一枚に絞るという構成なので興味がぶれない。数日前に感銘を受けた絵の印象が褪せないうちにまたテレビで見られてよかったよ。なんせ単純なんだものー。
でも、美術館で見た実物がもちろん一番いい。
そして、音楽もライヴが一番いい。
[PR]

by drift_glass | 2008-07-15 10:09 | 観る  

白い巨塔(1966)

山本薩夫監督『白い巨塔』(1966)

WOWOWの監督没後25周年企画。
どこまでも傲慢な田宮財前は他(のキャスティング)の追随を許さない。正面きって財前をののしり何度張り倒されても負けない強さと法廷で真剣な面持ちで裁判の行方を見守るケイ子(小川真由美)、目元のわずかな変化で女心がよくわかる。

それから「財前教授の総回診です」これが見たかったのだよ。
[PR]

by drift_glass | 2008-07-14 15:30 | 観る  

静かなる決闘(1949)

黒澤明監督『静かなる決闘』
NHK-BS2で放映。

梅毒といえば、高校の頃エラリー・クイーンのある作品で「ワッセルマン反応」という言葉を知った。

世を拗ねたような未婚の母(千石規子)が、野戦病院で指の傷から梅毒に感染した青年医師(三船敏郎)の生きる姿勢にふれ、看護士として技術的にも、また人間として精神的にも成長する様子がその手つきと表情から読み取れる。
ひとりのプロフェッショナルの誕生だ。
[PR]

by drift_glass | 2008-06-21 16:00 | 観る  

「アフタースクール」「運命じゃない人」

知り合い3人が立て続けに観ていずれも好評、
さらに小林信彦も絶賛していた作品が猛烈に観たくなり久々に映画館へ。
あまりのおもしろさに同じ監督の前作をその足で借りに行き、夜鑑賞。

f0134076_1015111.jpg

内田ゆうじ監督『アフタースクール』(2008)
変わってないって、なんでわかるんだ。お前は本当に友達のすべてを知ってるのか。

実は一番最初のほうのある会話がずっと喉に刺さった小骨のようだったのだが、本当にこの監督、観客にフェアだ。リスキーな演出に挑戦して、ちゃんと収束している。キャラクターの何気ない会話やしぐさも、当事者の知らない状況を把握している観客にはおかしくて仕方がない。突然昔の同級生に挨拶されて、もし相手のことを思い出せなかったら、やっぱり神野のように(頭はフル回転させながら)あたりさわりのない会話を続けるよね。

小さなところでは、どうみても麺類メインの和風ファミレスみたいな店でのミスマッチ
「ジャンバラヤおかわり!」が激烈におかしかった。
袋とじのシナリオつきで700円のパンフレット、ひと粒で二度おいしいこのお値段は安いよ!


内田ゆうじ監督『運命じゃない人』(2004)
「だからってナンパなんてしたこともないでしょうが。
ああいうのは、なんていうか、才能とか技術とかいるんだよ」
「いらないよ。人と会うのに技術なんているかよ」

観客を巻き込む時空の「逆」スパイラル。
山下規介のヤクザによる「神の(低い)視点」がすばらしい(笑)
[PR]

by drift_glass | 2008-06-13 22:05 | 観る