カテゴリ:観る( 55 )

 

クリミナル・ラヴァーズ

・クリミナル・ラヴァーズ "Les Amants Criminels" / フランソワ・オゾン監督 / 1999年仏 / 95min.

だいたいアリスの道案内役になるはずのウサギをうっかり轢き殺してしまうような筋書きだから、森に入ればきっと迷うに決まっていると思ったらやっぱり。
「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家に住む髭面の男は確かにふたりを監禁してあんなことやこんなことをするが、(潜在的な)動機から目をそらしている少年に「自分の意志で殺した」という事実の重さを、快楽と引き換えに叩き込んだと思えば、むしろ恩人と呼んでもいいくらいだ。「人食い鬼!」得体の知れない人物だが、彼女からそう呼ばれる筋合いはないと思うぞ。

「あの人は何もしていない」護送車の金網の内側から声をふりしぼる少年と、(全然話は違うが)三角帽子を被せられたかつての刑務所長を引き回す紅衛兵を必死に止めようとする溥儀の姿が少し重なった。
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by drift_glass | 2007-04-07 07:46 | 観る  

海をみる

・海をみる "Regarde la mer" / フランソワ・オゾン監督 / 1997年仏 / 52min.

音楽は使われず、葉ずれと打ち寄せる波の音だけ。
夫の留守中、くちゃくちゃの部屋でカフェオレ用のどんぶり(カップ、なんてもんじゃ)をどんと置いた床に座り込んだままぼんやり子育てしている女の感覚、庭で野宿する眉のりりしい居候(女)を意識してノーブラで赤いスリップドレスを選ぶ下心、どうぞ誘ってといわんばかりの隙だらけの身ごなし、あっ、ヤなもんみちゃったな……。

ぬくぬくとぼんやり維持しているものすべてがあっけなく失われてしまう。赤ん坊は女優さん自身の子だそうで、とにかく母子一緒にいる絵そのものが作品に大きく貢献している。
盛夏のはずなのにちっとも暑さの感覚はない。そういえば蝉しぐれ、なんて外国映画で聞いたことないな。
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by drift_glass | 2007-04-07 07:44 | 観る  

Wonder Boys

・Wonder Boys / Curtis Hanson / 2000 / 112min. / DVD(輸入盤Paramount33261)

トビー・マグワイアが『サイダーハウス・ルール』以来お気に入りで、この作品も国内盤が待ちきれず買ったもの(バカ)。マグワイアは内面を覗かせないキャラクターをここでも上手にこなしているが、その彼を食ってしまうのが(キャストとしては3番目か4番目の)ロバート・ダウニーJr.!あの"Jimmy, Jimmy, Jimmy…"は、どんなシーンよりも説得力がある。

マイケル・ダグラス演じる主人公は序盤で犬に噛まれた足をずっと引きずっているのだけど、引きずっているのは(足だけでなく)去っていった3番目の妻、彼の子を妊娠した不倫相手、7年間も未完のままの小説、ダッシュボードに隠したグラスをすべてひっくるめているのだろう。

ええと、成功への一歩を踏み出したJames Leerくん、君は借りっぱなしの図書館の本をあれからちゃんと返したんだろうか。細かいことだけれど、ちょっと気になる。
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by drift_glass | 2007-04-07 07:25 | 観る  

アイス・ストーム

・The Ice Storm / Ang Lee / 1997米 (113min.)

ice storm=「着氷性悪天」「凍った雨をともなう暴風」だそうだ。
子役というには微妙な年頃のフッド家の子どもトビー・マグワイア(親の言うなり)とクリスティナ・リッチ(童顔にだまされてはいけない)、カーヴァー家の子どもイライジャ・ウッド(間が悪くて気の毒だ)、アダム・ハン・バード(将来が気がかり)がなまなましくて怖いくらい。大人の世界は言うに及ばず。家族が久しぶりに揃って感謝祭の食卓を囲むダイニングなど冬木立に囲まれたガラス張りだ。暖房されていることはわかっていても見るほうは寒いんだよう(監督は雪とも氷とも縁のない台湾出身だというのに映像がとことん寒々しい)。製氷皿から氷を取り出したりロックアイスを鷲掴みにしてグラスに放り込んだり、水溜りに足を突っ込んだり氷雨に打たれたり。カーヴァー夫人ジェイニー(シガーニー・ウィーバー)が不倫に走るのは(あのご主人では気持ちはわからないでもないが)心も満たされていないからだとわかるところだけが(ウォーターベッドの真ん中で胎児のように手足を縮めて眠るところだけは水、といっても)羊水のイメージで人肌。

嵐の翌朝、両家でひとり蚊帳の外の少年が列車から降りた時、揃って出迎た家族の姿を見てうっすら顔をほころばせる(もちろん何も知らないからこそだけど)。数時間前に死んだ隣の子の重みをまだ覚えているであろう父親がこらえきれず肩を震わせすすり泣くのも無理はないか、というなんともいえないいい表情だ。ただこの一家はこの子のおかげでわずかでも家族の絆を取り戻せるかもしれないが、家族を繋ぎとめるかなめを失ったカーヴァー家の行く末は?弟の心は?両家が隣同士の付き合いをこのまま続けていけるだろうか。同じアン・リー作品の『ウェディング・バンケット』をみても、息子はともかく父親の気持ちを思うと何もかもうまく収まりめでたしめでたしという結末は実際にはほとんどあり得ない、ということだ。

時代はニクソンが支持を失う1970年代前半、テレビ画面は(おそらく)「グリーン・ホーネット」、季節は感謝祭。つきものの七面鳥も小道具として威力を発揮、冷凍庫からごろん、と登場する様子は死体のよう。ローストが感謝祭の食卓で家長によりうやうやしく切り分けられるのだけど、やがてぎざぎざのきたない切り口をみせた大写し(親は子どもを置いてパーティーに行くので、残り物で済ませるる早めの夕食)。一家の見せかけと現実を見せつけられているようでなんだかなぁ。
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by drift_glass | 2007-04-07 07:20 | 観る  

ジョーズ'87復讐篇

・『ジョーズ'87復讐篇』

サメを退治したのはめでたいが、今しがた友達がサメに喰い殺されたばかりなのに何故皆冗談を飛ばすほど明るい?このロケのためにアカデミー授賞式を棒に振ったサー・マイケル・ケイン。
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by drift_glass | 2007-04-07 07:17 | 観る  

天使のたまご

TOKUMA Anime Collection『天使のたまご』を観た。 少女の目覚め、方舟、始祖鳥、魚影(シーラカンスのよう)。 タルコフスキーの『ストーカー』にも通じる、好きな世界。

あと、昔教育テレビで観た『紅い服の少女』(原題『紅衣少女』)の詳細のわかるページを見つけてごきげん。
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by drift_glass | 2007-02-14 22:30 | 観る  

Devil's Backbone

Devil's Backbone
Fさんよりお薦めの映画:
ペドロ・アルモドバルプロデュース、偶然にも「ヘルボーイ」「ブレイド2」のギレルモ・デル・トロ監督作品なんだ~。ギレルモ・デル・トロの新作:"Pan's Labyrinth"には群れなす団子虫だの、巨大ガマガエルだの、顔に大きな口しかない怪物だの……。紹介ではビクトル・エリセ『ミツバチのささやき』に似た匂いのダークファンタジーらしい。

あとカナダ国営の音楽専門局Espace Musiqueのユニークな選曲の話などなど。日本時間で月~木の23時から聴けるシャンソン専門番組がなかなかいいそうだ。
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by drift_glass | 2007-02-10 22:01 | 観る  

白い家の少女

f0134076_1147245.jpgThe Little Girl Who Lives Down The Lane
監督:ニコラス・ジェスネール
原作・脚本:レアード・コーニグ


丘の上に建つ白い家。「生きぬけ」という父との約束を守り、学校という型にはめようとする世間に対し、ひとりで立ち向かう13歳の少女リンを好演するのはジョディ・フォスター。褪せたような髪の色と茶系の衣装が秋景色にとけこみ、これから訪れる厳しい冬を予感させるようだ。
リンを執拗につけねらう家主の息子、家族の後ろ盾で野放し状態のこの男フランクは少女趣味のサディストなのだ。ついにフランクは彼女の恐ろしい秘密をつきとめた。恋人はそばにいず唯一の友は町を去ろうとしている……。

猫なで声でジョディ・フォスターをいたぶる卑劣漢を演じるマーティン・シーン(チャーリーやエミリオ・エステベスの父親だね)はやさ男だが、原作のフランクは「この男の身体、持ち物、すべては汚れているか、てかついているか、赤っぽい」背の高いピンク色の男だそうだ。ああ気持ちが悪い。
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by drift_glass | 2007-01-28 22:30 | 観る  

ボリス・カーロフの夕べ

『ボリス・カーロフの夕べ』  LP(MCA-7149)
SIDE 1
イントロダクション
魔人ドラキュラ (Dracula)
モンスターのすべて
フランケンシュタイン (Frankenstein)
ミイラ再生 (The Mummy)

SIDE 2
フランケンシュタインの花嫁 (The Bride of Frankenstein)
フランケンシュタインの復活 (The Son of Frankenstein)
狼男 (The Wolf Man)
フランケンシュタインの屋敷 (The House of Frankenstein)
フィナーレ
<MCAオリジナルサウンドトラック>怪奇映画傑作集
名優ボリス・カーロフの特異の語りで繰り拡げる怪奇と幻想の世界!!

各作品を紹介するホスト役が、フランケンシュタイン映画の怪物で有名なボリス・カーロフ。
『フランケンシュタイン』というとやっぱりこの言葉が一番印象的。
"Alone, bad. Friend, good"
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by drift_glass | 2006-10-17 08:40 | 観る  

バットマン・オリジナル・ムービー

去年12月に亡くなっていたロバート・シェクリイ。バットマン生誕50周年記念アンソロジーに書き下ろした「ジョーカーの死」に刺激されたからかもしれないが……

ブックオフにて:
・デニス・オニール『バットマン ビギンズ』(SB文庫)
・DVD『バットマン・オリジナル・ムービー』

映画版バットマンがこんなにおもしろいものだとは!
人間を瞬時にフリーズドライする殺人マシーンで世界征服をたくらむ悪人4人、たちむかうバットマンとロビン!吹替えはバットマンが古代守(エリック・アイドルというべきか?)、The Riddler(日本版ではナゾラー)吹替えはなんとパタリロ!のバンコラン(先日お亡くなりになった曽我部和恭氏)なのだ。
あ、また「マライヒ・イボイノヒヒ」のあのフレーズが……
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by drift_glass | 2006-10-01 21:30 | 観る