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Apartment Zero

・『アパートメント・ゼロ』
深夜からレーザーディスクで観始め、筋も台詞も覚えているので眠くなったら止めよう、と軽く考えていたが結局最後まで観てしまった。エイドリアンがアパートの階段から転落したところで一旦ディスクを交換しなくてはいけないのが手間。

英国贔屓の人をAnglophileというそうで、きつく巻いたこうもり傘を天気にかかわらず持ち歩くエイドリアンも部屋を借りたいという男の勤め先を聞くと「ハロッズ(ここがポイント高そう)の裏だ、ここから歩いて行ける」。 17年住んでいたイギリスからブエノスアイレスに戻っても友達もなく(自分から作る性格でもない)支配人をしている名画座と自宅を往復するだけの毎日と思われるが、「ハロッズ」にはイギリスを懐かしんでたまに行っているのかもしれない、という深読みもできる。そもそも男の第一印象=ジェームズ・ディーンだから悪かろう筈もないし。

エイドリアンと男が映画に関するクイズを出し合う場面が何度もあり「ジョン・ヴォイト」「アート・ガーファンクル」「アンソニー・パーキンス」でエイドリアンが『キャッチ=22』と即答。
「失敗作だがガーファンクルは他の出演作より良かった」
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by drift_glass | 2004-09-24 21:57 | 観る  

息子のまなざし

・息子のまなざし / ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督 (2002) / 103min.

原題 "Le Fils" 仏・ベルギー合作
”果たして人間はもっとも憎い人間を受け容れることができるのか”

撮影が終わる夕方ごろになると俳優も疲れてきて、計算した演技ができなくなる。ダルデンヌ兄弟によるとその時のテイクが一番いいんだそうだ。「オリヴィエに自分のしていることがわからなくても、観客がわかっているのだからわざとらしい演技は必要ない」と同名の主人公オリヴィエを演じたオリヴィエ・グルメが説明する。

彼は息子を殺した少年に復讐する機会を狙っているようにも、また赦そうと精一杯努力しているようにも見えるが、常に腰を締めつけている幅広の革ベルトで感情まで抑えこんでいるかのように殆ど表情には出さない。自分が殺してしまった子どもの父親がオリヴィエとは知らない少年に「後見人になってほしい」と頼まれた時、彼は少年のコップと並んだコーヒーカップをすっと自分の方に引き寄せる。ありふれた動作で生じる距離感が見た目よりはるかに大きい。

製材所。積み重ねた材木と材木の間に挟まれた木片を「木を乾燥させるためだ。生乾きのままでは」とオリヴィエが説明しかけ「木がそってしまう」と自分の罪を恥じ不眠症に苦しんでいる少年が受ける。 2枚の板は癒えない傷口を抱えたこのふたりの関係に似ている。
「音による効果を与えたくなかった」という監督の意向で音楽も一切ないが、撮影に13週間もかけ、少年役が演技経験ゼロ、と知って驚いた。
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by drift_glass | 2004-09-03 21:55 | 観る  

爬虫類園

・J.G.バラード「爬虫類園 (The Reptile Enclosure)」(1963)

発表はバラードのほうが先の筈だが、昔シチュエーションがよく似た筒井康隆(子どもの頃この作家以外の本を殆ど読んでいないから多分そうだと思う)の、タイトルは失念したが短篇を思い出し、結末の予想がついて途中からむずむずしていた。あれよ、レミングの群れ。続々とおしよせる人の群れで一杯の浜辺から沖へと歩を進める無表情な海水浴客たち。本は手元にないし筒井作品は膨大な数にのぼるし(「陸族館」という似た題名の短篇があったが)解決しない疑問をかかえて悶々。
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by drift_glass | 2004-09-01 20:54 | 読む