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おかしな男 渥美清

f0134076_7593723.jpg・小林信彦「おかしな男 渥美清」(新潮文庫)

お茶の間の人気者 “失恋ターミネーター” 車寅次郎を演じる渥美清、その役者渥美清を演じる田所康雄。飽くことなき上昇志向と他人を寄せつけない人間不信、計算高い一方で純粋で無垢なものへの強い憧憬。タイトルと裏腹に、読んでいて息苦しくなるような評伝(筆者の言葉を借りればメモワール)だった。
「主役をずーっと続けて、歳をとったら、どうなるの?」
ぼくは無邪気な質問をした。
待ってましたとばかり、彼はこう答えた。
「トメになるんだ。クレジットに主役の名前があって、脇役の名がずらずらっとあってさ、最後に線が引いてあって、重い役者の名前がある。これをトメというんだ」
おそらく<止め>と書くのだろう。主役→トメ、それが彼の理想であった。(p245)

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by drift_glass | 2007-05-29 18:14 | 読む  

晩秋

先週末NHK BS-2で放映された『晩秋 (Dad)』(1989年米 Gary David Goldberg監督)を観る。放映のたび観逃していた作品でようやく録画できたのだ。原作は『バーディ』『クリスマスを贈ります』のウィリアム・ウォートン。仕事一筋で寡黙だが愛情あふれる父親、ジェイク役のジャック・レモンがすばらしい。

家族の絆と別れの予感が時おりユーモアをまじえて描かれ、しっかりものの妻を演じたオリンピア・デュカキスをはじめ、息子役テッド・ダンソン、孫役のまだ少年の面影を残したイーサン・ホーク、陽気な娘婿ケヴィン・スペイシーなど、脇役もそれぞれが主役を演じられる実力の持ち主ばかり。

老人介護、病気の告知、患者の生活の質(Quarity of Life)について考えさせられる部分が多く、とくに命にかかわる深刻な病状なら、誰(医者、家族)が告知するかまたどのタイミングで告知するか慎重に考えたい。ジェイクの二度の癌告知場面に(もちろん『晩秋』で恐怖心から一時的な心神喪失状態に陥るところはフィクションだが、十分ありうる事)、強くそう感じた。

病床から「もっとお前を抱いてやりたかった」と40代の息子に語りかけるジェイク、いくつになっても親は親、子は子だ。
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by drift_glass | 2007-05-29 18:06 | 観る  

Elliott Smith "New Moon"

f0134076_12515293.jpgElliott Smith "New Moon" 2CD (KRS455)

Disc One
1 Angel In The Snow
2 Talking To Mary
3 High Times
4 New Monkey
5 Looking Over My Shoulder
6 Going Nowhere
7 Riot Coming
8 All Cleaned Out
9 First Timer
10 Go By
11 Miss Misery ( Early Version )
12 Thirteen ( Alex Chilton )

Disc Two
1 Georgia, Georgia
2 Whatever ( Folk Song In C )
3 Big Decision
4 Placeholder
5 New Disaster
6 Seen How Things Are Hard
7 Fear City
8 Either/Or
9 Pretty Mary K ( Other Version )
10 Almost Over
11 See You Later (Elliott Smith / Neil Gust )
12 Half Right (Elliott Smith / Neil Gust )
For a long time I made up most songs walking around at night, just 'cause I like walking around at night. And so I saw the moon a lot. It's a really overused image, but there's always ways to use overused images well, To make them new again, or to at least try to. I wouldn't say that I succeeded at that, but ...

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by drift_glass | 2007-05-19 12:43 | 聴く  

インフェルノ―SF地獄篇

・ラリイ・ニーヴン&ジェリ^-・パーネル「インフェルノ SF地獄篇」
Inferno
訳:小隅 黎
SF作家大会の宴会で、ホテルの窓に腰をかけ酒をひと壜飲みほす賭けをして、地上八階から落ちて死んだ作家、それがわたしだ。そう、わたしは死んだはずだった……

14世紀のダンテ「神曲」地獄篇が主人公アレン・カーペンタイアー風にアレンジされた「地獄(インフェルノ)ランド」めぐりの旅。道案内をつとめるはベニトという大男で、なにやらいわくありげな過去の持ち主らしい。地獄に落ちているくらいだから当然それなりのものは背負っているのだが、このベニトと共に下へ下へと進むうちに、新たな道連れがひとり、またひとり。自らは地獄から(出られると言いながら)出ようとしないベニトは神の遣いか悪魔の手先か?その本心は?主人公は本当に出られるのか、途中で脱落した道連れたちはその後どうなるのか。
読者は消化不良のまま取り残されるのかという思いもちらっとしていたのだが、物語の結びは本当によくできている。

地獄めぐりの第六圏に点滅するネオンサインの「そういうものだ」、この決め台詞はもちろんヴォネガット。さすが屠○場だ。第八圏の地獄までたどり着いた時に、スタンリイ・エリンの長編『第八の地獄』を思い出した。そうそう、汚職者、偽善者、盗賊、謀略者、詐欺師など悪意を持つ者の地獄だったっけ。
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by drift_glass | 2007-05-17 00:19 | 読む  

弁護側の証人

・小泉喜美子「弁護側の証人」(文藝春秋新社)

買った帰りがけから読み始めた『弁護側の証人』を2日で読了。
発表は40年以上前、昭和38年の作品だがモダン(「黒衣の花嫁」のようなレトロモダン)な作風。巧みなミスディレクションにまんまと引っかかってしまった。それ抜きでも真犯人を追いつめるまでの緊張感あふれるストーリーに読書の醍醐味を十分味わえるのだけれど、翻訳ミステリ(でなければアイリッシュなどのノワール)からの影響、または憧れが鼻につきかかったので、この作品には満足したが他の作品まで手をのばすか?といわれるとどうだろう。
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by drift_glass | 2007-05-12 22:30 | 読む  

Mike Keneally "hat." "Boil That Dust Speck"

f0134076_1118868.jpgKeneally.com
Mike Keneallyオフィシャルの代理店Lou's Recordsから"hat."(1992)、"Boil That Dust Speck"(1994)各3000枚限定2枚組リマスターCDが届いたので、おのおののDVDを鑑賞。アルバムレコーディング映像や当時のライヴ、2006年の再結成ライヴ、インタヴュー(XTCがFrippがEnoが、とか言っているようだが聞き取れません)、おまけにオーディオアーカイヴズ(ケネリー版Fuzzy Warbles)がぎっしりアルバム1枚分くらい。

その中のピュルルン、ピュルルンと特徴的なキーボードのインストヴァージョン"My Immense Superiority Over the Silverfish"は、当時住んでいたアパートによく出没した“友”に捧げる曲なんだそうで、silverfishといえば響きはいいが西洋紙魚(セイヨウシミ)、畳の隙間や古本を住処とする足の少なめなフナムシみたいな奴のことだ。

体型はさらにビヤ樽のようになっていたがまだ45歳なんだな。
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by drift_glass | 2007-05-10 22:30 | 聴く  

不完全な死体

・ラリイ・ニーヴン「不完全な死体」 (創元SF文庫)
The Long Arm of Gil Hamilton
訳:冬川 亘

「快楽による死」 Death by Ecstasy(The Organleggers)
「不完全な死体」 The Defenseless Dead
「腕」 ARM

ニーヴン独自の歴史空間「ノウン・スペース」が舞台。国際連合警察ARM (Amalgamation of Regional Militia)の捜査官で、第三の「想像の腕」を持つ男ギル・ハミルトンが主人公のSFミステリ中編集。
死刑判決を受けた犯罪者は、病院で処刑されなくてはならない、またその際、外科医たちは可能な限り多くの部分を臓器銀行のために救わなければならない。
臓器を密売するギャング「オーガンレッガー」の存在も、現在では絵空事でなくなってきている。死刑囚の貴重な臓器は移植に利用されるが、常に備蓄臓器は不足しており死刑制度の枠がどんどん広げられた結果、犯罪抑止効果が高まり人々は犯罪の実行をやめてしまった……
そこで臓器密売人の暗躍。

ギル自身も事故で右腕を失っている。失意の日々を送るうちに彼は自分の「想像の右腕」が使えるようになっていたが、新しい腕を移植されてからもその目に見えない「第三の腕」は残った。その腕を使えば壁越しでも真空でも物を掴んだり持ち上げたりできるのだ。人の注意をひくためちょっとした芸当をしてみせたり、犯罪捜査や危機脱出の役に立ったりと、この「想像の手」が大活躍。

ところでギルが飲むスペシャルドリンク「コーヒー・グロッグ」。熱いミルクコーヒー+シナモン+ラム酒だそうだ。グロッギー(泥酔状態)はラム酒の水割り「グロッグ」から。18世紀、洋上での水分補給に積んでいたラム酒を水割りで兵士に支給した英国海軍エドワード・バーノン提督の仇名(グログラム生地の上着を着用していたことからOld Grogと呼ばれた)からとられたもの。ビタミンC不足による壊血病予防のため、この水割りラムにはのちに絞ったレモンが加えられましたとさ。
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by drift_glass | 2007-05-07 21:34 | 読む  

親切な恋人

・アルフォンス・アレー「親切な恋人」

こごえた恋人の足を、ナイフで切り開いた自分の腹の、湯気のたつ虹色のはらわたの中で温めてあげる若者。その工夫と優しさにうたれた恋人は翌朝絹糸と針を買いに行き、はみ出そうとするはらわたを左手で押し込みながら、彼の腹を元どおりに縫い合わせてあげる……。

これが二人にとって最良の思い出となったというのだからとてつもなくへんてこりんな話なのだが、その様子を想像するとグロテスクながら不思議とほのぼのとしてくるのだ。
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by drift_glass | 2007-05-06 00:35 | 読む  

古書会館即売会(オールディーズ・クラブ)

・クリフォード・D・シマック『都市』(ハヤカワ文庫SF205)
・ロイド・ビッグルJr.『ダーセック・シリーズ 暗黒のすべての色』(サンリオSF文庫)
・モーパッサン『ロックの娘』(パロル舎)
・アルフォンソ・アレー『悪戯の愉しみ』(福武文庫)
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by drift_glass | 2007-05-04 22:30 | 見つける  

Twenty things you never know about ...

"Twenty Things You Never New All About Newell"

14) Newell is distantly related to Dennis Wheatley. They are not in touch each other.

Martin Newellの記事を掘り起こしていたらこんな記述が。デニス・ホイートリーとは黒魔術小説で有名なイギリスの作家。 Martin Newellの魔法使い然としたご面相と黒魔術作家、妙に納得のいく関係である。
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by drift_glass | 2007-05-01 17:55 | 日常