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警察長官と砂漠の掠奪者

・マイクル・ピアス『警察長官と砂漠の掠奪者』(HPB)

1992年度英国推理作家協会賞ユーモア賞受賞作。
砂漠とかエジプトというと、XTCの"Homo Safari"の、ラクダの足音のようなとぼけた音楽が(アラビアの「オレンス」のモーリス・ジャールより)先に浮かんでしまうのだな。

舞台は20世紀初頭のエジプト。
盗掘事件の調査中犬のミイラ、猫のミイラ、鰐のミイラがどっさり詰まった穴に(何者かに押され)落ちてしまった考古学者のミス・スキナー
爪先立ちになると、縁から外が見えました。でも、登れなかった。足がかりがなにもなくて。もちろん、ミイラはあったけど、乗ると崩れてしまうんです(p67)

ミイラを積んでよじのぼろうとしたのか、気丈な。
鰐のミイラが天井まで何千何百も互い違いにぎっしり積み重ねられた部屋まで出現、まるで鰐のミルフィーユだ。
村人たちは、ホテルを出入りする観光客に盗み出したミイラのかけらやその包帯の切れ端を振りかざし「ほんもののミイラでさ!」と口々に売りつけようとするのだった。
もちろん本筋で狙われるのは鰐のミイラではなく、もっと大物。

かる~く読めたので、マムール・ザプトもの短篇(マムール・ザプトと鳩の家)が収録された『<クライム・クラブ創立60周年記念>13のダイヤモンド』を今日の通勤の供にして、すぐ読了。続くマイク・リプリーのエンジェルもの「消えたディーゼル」のほうが面白かった。

by drift_glass | 2006-09-25 22:20 | 読む  

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