人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Lost in Music

・Giles Smith "Lost in Music" (PICADOR ISBN 0-330-33917-6)
" Read this book!" - John Peel

Giles SmithはCleaners From VenusでMartin Newellの相方として活動後、バンドが実質上凍結してからライターに転向し、現在はスポーツ・コラムニストとしてTimesやGardian、New Yorkerはじめ各紙で活躍中。"Lost in Music"は1995年に出た彼の"pop odyssey"。
十代前半からの熱心な10ccファンが1978年レコードショップで"This Is Pop"を流しているスピーカーを指して「これを買いたい」、そのまま熱烈な(ファンジンLimelightにも寄稿した)XTCの大ファン、大コレクターへ。大学を出て郷里に戻り、行きつけのレストランで皿洗いをしていたMartin Newellと8歳の年齢差もものともせず一緒に音楽を作り始めるようになる。当時Martin Newellは自分の音楽をカセットテープに吹き込み、メールオーダー方式でファンに配っていたのだが、Giles Smithももちろんファンのひとりで、テープは全部聴いていたのだとか。

Cleaners From VenusとCaptain Sensibleとのなれそめは、船長の新しいアルバムの曲作りが難航していると、彼の友人でもあるレコーディングエンジニアから聞いたNewellがデモテープを送り、それを聴いた船長が直接Newellに電話をかけてきたことに始まり、(A&M時代は予算がたっぷりあったんだな)船長の新作のためにはGraham Gouldmanも呼ばれていたそうだ。 Newell/Smith共作の"Clara Bow"は、バッキングトラックまで仕上がっていたのに船長とA&Mとの関係が切れたため陽の目をみることはなかった幻のシングルだそうだ。 Cleaners From Venusヴァージョンは聴けるけれど、船長のシングルでも出ていればなおよかったね。

Newellのソロアルバムプロデュースに唯一名乗りをあげたのが他でもないAndy Partridgeだと知った時の「別れた彼女がHugh Grantと婚約したと聞かされる心境」、AndyのホームスタジオでレコーディングするNewellの横で覚えた奇妙な感覚、そして嫉妬心から毎晩「どうかこのアルバムが売れませんように」と神に祈りを捧げ……など本当に楽しい。「おもしろいですよ」と教えてくれたXTC本の翻訳者Fさんには大感謝。そうそう、Prefab Sprout "38 Carat Collection"ブックレットに長~い解説を書いているのもこの人だ。

by drift_glass | 2005-11-08 22:18 | 読む  

<< ボアズ=ヤキンのライオン 意味の多様性の七類型 >>