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インフェルノ―SF地獄篇

・ラリイ・ニーヴン&ジェリ^-・パーネル「インフェルノ SF地獄篇」
Inferno
訳:小隅 黎
SF作家大会の宴会で、ホテルの窓に腰をかけ酒をひと壜飲みほす賭けをして、地上八階から落ちて死んだ作家、それがわたしだ。そう、わたしは死んだはずだった……

14世紀のダンテ「神曲」地獄篇が主人公アレン・カーペンタイアー風にアレンジされた「地獄(インフェルノ)ランド」めぐりの旅。道案内をつとめるはベニトという大男で、なにやらいわくありげな過去の持ち主らしい。地獄に落ちているくらいだから当然それなりのものは背負っているのだが、このベニトと共に下へ下へと進むうちに、新たな道連れがひとり、またひとり。自らは地獄から(出られると言いながら)出ようとしないベニトは神の遣いか悪魔の手先か?その本心は?主人公は本当に出られるのか、途中で脱落した道連れたちはその後どうなるのか。
読者は消化不良のまま取り残されるのかという思いもちらっとしていたのだが、物語の結びは本当によくできている。

地獄めぐりの第六圏に点滅するネオンサインの「そういうものだ」、この決め台詞はもちろんヴォネガット。さすが屠○場だ。第八圏の地獄までたどり着いた時に、スタンリイ・エリンの長編『第八の地獄』を思い出した。そうそう、汚職者、偽善者、盗賊、謀略者、詐欺師など悪意を持つ者の地獄だったっけ。

by drift_glass | 2007-05-17 00:19 | 読む  

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